ときどき思い出すのですが，小学校5年生のときに，相撲大会に出させられたことがありました。

「出させられた」と書いた通り，本当は出たくありませんでした。

子ども会で相撲の練習があるということでしたので，夕方に神社に行きました。

初めて巻く廻し。

ものすごく恥ずかしくて，巻くのが嫌でした。

しかし巻かなければなりませんでしたので巻いて，練習しました。

理由は覚えていませんが，練習に行ったのはたったの1回だけでした。

相撲大会の当日，日曜日の朝でしたので，いつも楽しみにしていたテレビを見ていました。

私は試合に出るつもりもなく，テレビを見ていました。

すると，世話役の大人の方と4人の後輩たちが家に来ました。

母が玄関に行きました。

しばらくして戻ってきて，「大将がおらんけん，和田君に出て欲しいてげなよ。」と母が言いました。

私は「行きたくない。」と言ったのですが，結局行くことになりました。

団体戦は5人制で，

先鋒　1年生

次鋒　2年生

中堅　3年生

副将　4年生

大将　5年生または6年生

私は大将として団体戦に出ました。1回戦は2勝2敗で大将戦を迎えました。

ということは，私が勝てば2回戦進出で，負けたら1回戦敗退です。

私はたった1回練習に参加しただけで，相撲は全くの素人でした。

しかも，今よりも痩せていて，背は低い方でした。

相手は大きな6年生でした。

痩せた5年生対大きな6年生。

「はっけよい！」という行司の声が響いた直後，私は空を見上げて土俵に転がっていました。

一発で押されて後ろにひっくり返り，仰向けになって倒れていたのです。

「負けた。」と思って土俵から出たら，同じチームの後輩たちの声が聞こえました。

「和田君が負けたけん，負けた。」

負けて悔しい私の気持ちは後輩たちは知らず，「和田君が負けたけん，負けた。」と言ったのでしょう。

また，小さい子どもですから，思ったことをそのまま言っただけなのかも知れません。

しかし，負けて悔しい上に，チームの敗戦の責任を負わされた感じになった私の残念な気持ちは計り知れないものでした。

悲しい気持ちでした。

本当なら，「団体戦は3人以上負けな負けにならんとに，何で俺だけのせいになるとや！○○と△△も負けたやろーが！！」と後輩に言っていい場面でしたが，悲しみに支配されて，そこまで頭が回りませんでした。

そのとき，「誰が相撲やらするや！」と心の中で思いました。

引き分けのない相撲ですので，5人制の団体戦なら3人負けたら負け，3人制の団体戦なら2人負けたら負けですので，過半数が負けたら負けということになります。

だから，団体戦で1人のせいで負けるというのは有り得ないわけです。

だから今は，団体戦で負けた子ども達の中で，責任を背負いすぎている子がいましたら，1人のせいではないと言ってあげることができます。